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第24回「手づくり紙芝居コンクール」<一般の部 優秀賞>

天狗がたてたお寺
摂南大学紙芝居プロジェクト 作・画

・興国寺の説明
和歌山県の由良町に開山と呼ばれるお寺がありました。この寺は昔、何度も何度も火事に合いました。
住職「またじゃ、雲水、水を!」
雲水「はい!ただいま!」

・杉の坊が来る(杉の坊、住職、雲水)
ある時、一人のみすぼらしい旅の僧がやってきて、こう言った。
杉「何べんも火事で燃えてしまうのは、寺を開いた上人(しょうにん)の名前が法燈というからじゃ。法という字は水が去る、燈は火が登ると書く。これでは火事も避けられまい。」
雲「なるほどそういうことだったのですね」
杉「もしお望みであれば、後の世まで残る立派な寺を建ててしんぜよう。」
雲「どこにお尋ねすればよいのでしょうか?」
杉「わしは上州赤城山に住む杉の坊という者じゃ」

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・山に向かうシーン(雲水1,2)
 杉の坊が立ち去った数年後、興国寺の住職は雲水を二人赤城山に向かわせました。赤城山は現在の群馬県にある山です。
雲1「おい、大丈夫か?」
雲2「大丈夫!これも寺のためと思えば!」
雲1「さっき、通りかかった人の話だと、杉の坊様は天狗らしい」
雲2「今は、そんなこと言っている場合じゃない」
そういって2人は険しい山道を登っていきました。

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・杉の坊と交渉(杉の坊、雲水1,2)
雲水2人は何とか山を登りきり、杉の坊のもとにつきました。
雲2「杉の坊様、私たちは開山から来たものです」
雲1「寺の再建をお願いしに来ました」
杉「よくぞ参られた。再建してやろう。ただしその日は夕刻から寺方は里に下り、村人は火を消して家にこもられよ。」
雲「必ず守りましょう。」
杉「よし、わかった。」
すると突然、杉の坊の目が金色に輝き、鼻がムクーっと伸びて恐ろしい天狗の顔になりました。

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・天狗に乗って帰る(杉の坊、雲水2人)
杉「これからお二人を興国寺へお送り申し上げよう。わしの肩にしっかりつかまり、目を堅く閉じて、絶対に開けてはならぬぞ。」
と云って、雲水2人を肩に背負いました。
雲2(これも修行・・・これも修行・・・)
雲1(快適、快適~)心の声
あっという間に、開山の庭に到着しました。

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・約束の日(天狗達)
真夜中になると寺のあたりは急ににぎやかになりました。
杉「あまり時間がない。急げ!」
天1「合点承知の助!」
天2「よし!やろう!」
トントンカンカントントンカンカン。
一晩中、天狗達の作業の音が響いていました。

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・完成の日
翌日、夜明けと共にお寺へ行ってみた人々は、腰を抜かさんばかりに驚いた。なんとも立派なお堂がずらり。
村人「これはたまげた。赤城山の天狗さんたちが建ててくれたに違いない。ありがたい、ありがたい。」
雲2(寺が再建できて本当によかった)
雲1(天狗のみなさんありがとうございます)

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・礼を言う
住職も村人も大喜びで赤城山の方向に向かってひれ伏したという。
住「ああ、ありがたや、ありがたや。杉の坊様のおかげじゃ、天狗様のおかげじゃ。」
村人一同「ありがとうございました」
 それ以降、この寺が火事に合うことはなくなったと言います。

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