南葵音楽文庫(なんきおんがくぶんこ)ホームページ

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ベートーヴェン、ルートヴィヒ・ヴァン
Ludwig van Beethoven
ロシア民謡《可愛い娘さんが森にゆき》の編曲 WoO 158.1.15 (自筆楽譜)
自筆楽譜 成立年及び成立地不詳(おそらくウィーン 1816年頃)
ベートーヴェン(1770~1827年)は、生涯に179曲もの民謡編曲を手がけた。その多くはスコットランドの民謡愛好家ジョージ・トムソン(1757~1851年)の依頼による。このロシア民謡の編曲は、ウィーンで1815年から16年の間に行われたと推察されるが、ベートーヴェンの生前には出版されず、1941年になって初めて出版された。ベートーヴェンは、原曲の民謡を(楽譜上段より)歌、ヴァイオリン、チェロ、ピアノという編成に仕立てている。この自筆楽譜は、その冒頭部分である。歌詞は、この楽譜に記入されていないが、可愛い娘たちが野イチゴ摘みに森へゆき、黒や赤のたくさんの野イチゴを見つけた、という素朴な内容である。
楽譜表側の右端には、この楽譜が、ベートーヴェンの秘書を務めたアントン・シンドラー(1798~1864年)からヴァイオリニストのルイス・シュレッサー(1800~86年)に、1857年8月に贈られたことが記されている。なお、この楽譜には、シンドラーからシュレッサーに宛てた1857年8月15日付けの手紙(画像3ページ以下)が付されているが、その中でシンドラーは「1815年編曲のスコットランド民謡」と述べており、それがもともとこの楽譜の送付状であったのか、疑問が残る。南葵音楽文庫の母体であった南葵音楽図書館は、このベートーヴェンの自筆楽譜をおそらくロンドンの楽譜商ノヴェッロ社から1926年頃に購入している。
本資料画像は読売日本交響楽団からボンのベートーヴェン研究所に送られ、ベートーヴェン新全集の楽譜刊行に寄与している。


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